無期転換ルールの例外 第二種計画認定をめぐる論点③ 雇止め問題の回避?

無期転換ルール、またその例外である第二種計画認定について

いくつかの記事を書いてまいりました。


最優先で書いておきたいことは

今日のこの記事でほぼ完結です。


またなにか思い出したらご紹介してまいります。

では早速ですが、

前回に引き続き、60歳定年、65歳まで継続雇用という

高年齢者雇用の雇用制度を設けている会社があったとしましょう。


この会社が

第二種計画認定を受けずに

たまたま65歳まで継続雇用されているある方に対して

「もう一年だけ残って勤務してくれませんか」とオファーし、

その方がオファーを受け、雇用契約が継続されますと、

その方について無期転換申込権が発生します。


ここまで前回と同じです。


今回はその方が無期転換申込権を行使し、

無期転換した場合に想定される雇止め問題についてお話します。


ここに、この定年後無期転換した方の後輩にあたるような、

同じような仕事を経験し、同じような待遇を受けていたような方がいたとした場合、

その方が

「会社の継続雇用の制度は65歳までだが、

 自分についても先輩と同じように

 さらにあと1年の継続雇用のオファーがあるだろうし、

 そうすれば無期転換申込権が発生するので 65歳以上もまだまだ働ける」

と思うことも、無理のないことかもしれません。


このように、定年後の再雇用についても

ある方について無期転換するケースが発生すれば

それ以外の方について更新の期待が膨らむことは自然の流れと言えます。


つまり、定年後の再雇用後の無期転換についてひとつ例外を認めたつもりが、

再雇用対象者全体について更新の期待を誘発し、

ひいては雇止めの問題にまで発展する、ということになりかねません。


すると、

有期雇用契約が反復継続して更新された労働者について

契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由が認められる場合、

使用者が雇止めをすることが

「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められないとき」は

雇止めが認められません(労働契約法19条)。


ただ、このようなケースが想定される事業所においても

第二種計画認定を受けておいた場合は

定年後の再雇用者については無期転換申込権が発生しないことになります。

第二種計画認定を受けたうえで

契約更新のたび、当社には無期転換申込権は発生しない旨確認しているとすれば

更新の期待をすることが合理的とまではいえない状況になるのではないでしょうか?


ですから、

第二種計画認定を受けておくことは

今回ご紹介したようなケースの更新の期待の誘発、雇止め問題について

回避する方法のひとつと考えられるかと思います。



三浦 美佐子

ミミヨリニュース

千葉県柏市の社会保険労務士 三浦 美佐子からMIMIよりなお知らせをお届けします!

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